COLUMN活動報告

SEP. 13 2025

『「じっとしてなさい!」じゃ伝わらない子どもたち 〜感覚統合から見る行動の意味〜』

「〇〇くん、ちゃんと座ってー!」
「また立ち歩いてるよ」
「集中力がないんやから!」
現場でよく聞こえてくる声。でも、もしかするとそれは本人の「努力不足」じゃなくて、「感覚」の処理がうまくいっていないせいかもしれません。

〇感覚統合って何?
 感覚統合とは
「自分の身体や周りの世界を、感覚を使って理解し、調整していく力」のことです。

私たちは、目で見たり耳で聞いたりする「五感」だけではなく、
「身体の位置を感じる力(固有受容感覚)」、「バランスをとる力(前庭覚)」を使って、日常の動きを無意識にコントロールしています。

でも、感覚の入力と統合がうまくいかないと──
• じっと座れない
• イスに座っても身体がグラグラ
• 筆箱を何度も落とす
• 人との距離感が近すぎる
• 大きな音に過敏 など…

「どうしてそんなことするの?」という行動が、実は感覚のズレから来ていることがあります。そこで実例を見て見ましょう。

〇事例:「ふらふらしてじっと座っていられない子」
見える行動:
• 座ったまま足をバタバタ、身体をふらふら
• 椅子に座らず立ち上がる
• テーブルに突っ伏す

背景にあるかもしれない感覚の課題:
• 前庭覚(バランスを取る感覚)が不安定
 → 座っているだけで「船の上にいるみたいに落ち着かない」
• 固有受容覚(身体の位置や力加減を感じる感覚)が弱い
 → 自分の「まっすぐ」がわからず、動いて確認している
• 触覚過敏がある
 → 服やイスの感触が気になって集中できない

支援のヒント:
• 足をしっかりつけられる環境(足台や背もたれの調整)
• 前庭覚を刺激する揺れを与える遊び(バランスボールやハンモック)
• 課題の前に「重いものを運ぶ」「壁押し」などで固有覚を刺激する。

〇その子は「悪い子」じゃなくて、「困っている子」かも
感覚統合の視点で見ると、「問題行動」ではなく、「SOSサイン」に見えてきます。
子どもたちは、わざとフラフラしているわけじゃなく、自分の感覚を整えるために、無意識に体を動かしていることもあります。
だからこそ大人が、「どうしてこの子は動くのか?」、「どんな感覚の課題があるのか?」
という目で見て、安心して過ごせる環境をつくってあげることが、何よりの支援になります。

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