COLUMN活動報告

OCT. 24 2025

褒める療育

「褒める療育」とは、支援を必要とする子ども(特に発達障がいやその傾向を持つ児童)に対し、“望ましい行動や取り組み、成長の過程”を意図的に認めて言葉をかけたり、視線や態度で反応を返したりすることで、「自分は認められている」「自分にもできることがある」という実感を育む支援のあり方を指します。例えば、単に「今日は片付けができたね」という言葉ではなく、「〇〇ちゃん、靴を揃えてくれたね。とても助かったよ。ありがとうね」とその場面・行動・意味を具体的に伝えることがポイントです。

特に、発達障がいがある子どもは、集団生活や活動場面で「できなかった・しくじった」体験を他の児童以上に重ねていることが多く、結果として自己肯定感が低くなったり、新しいこと・チャレンジすることに消極的になったりする傾向があります。 そのため、褒める療育は「できないことを叱る・否定する」よりも、「できたことに注目して“できること”を増やしていく」ことを軸に据えています。

褒める療育がもたらす効果

・子どもが「自分にもできる」という実感を得る → 自己肯定感の向上につながる。
・望ましい行動が出た時に速やかに強化(=褒められて安心・認められている体験)することで、次の行動にもつながりやすくなる。
・支援者や環境が「この子を待ち、観察し、認める」という姿勢になることで、支援関係が良好になり、子どもが安心できる場づくりにも寄与する。

褒める療育の実践ポイント
1. 即時に褒める:行動直後に「〇〇できたね!」と声をかけることで、子どもが「その行動=認められた」という結びつきを持ちやすくなります。
2. 具体的に伝える:「すごいね」だけでなく、「しっかり手を洗えたね」「靴をちゃんと揃えられたね」というように、子どもの行動・過程を言葉にします。
3. 他者との比較を避ける:他の児童と比較して「〇〇ちゃんより早かったね」といった形の褒め方は避け、子ども自身の成長・変化に焦点を当てることが望ましい。
4. 過程・努力を認める:結果だけではなく、「最後まであきらめずに取り組めたね」「手伝おうとしたね」という努力や取り組みを言葉にすることで、チャレンジ意欲を育てます。
5. 支援環境も整える:「褒める」だけではなく、子どもの行動が出やすいように環境を調整したり、指示をわかりやすく出したりすることも療育として重要です。例えば、望ましい行動を言語化して伝えることなど。

留意点・逆効果を防ぐために
• 褒める言葉を矢継ぎ早に、多用し過ぎると“何を褒められたのか”子どもがわからず、褒め言葉の意味が薄れてしまうことがあります。
• 褒める目的が「コントロール」「条件付け」になってしまうと、子どもが「褒めてもらうためにやる」になり、主体性や内発的動機づけを損ないかねません。
• 一度叱ったり否定したりした後では、褒めた言葉がそぐわず、子どもの信頼感や安心感を損なう可能性があります。ですので、日常的に「褒める」「認める」関わりを意識することが望ましいです。

以上を踏まえ、放課後等デイサービスなどで実践する際には、支援者・スタッフが子どもの日常場面において「小さな・当たり前の行動」に目を向け、適切なタイミング・具体的な言葉で認めていくことが、子どもの「できる」を実感させ、次のチャレンジへつなぐ鍵になると考えます。そして、環境調整・指示の工夫・支援チームの意識統一があってこそ、褒める療育はより効果を発揮します。

引用文献・出典
• 発達障害の子どもの「褒め方」:現役指導員が解説!(ハッピーテラス) https://happy-terrace.com/blog/kids-nakano_20240627/
• 放課後等デイサービスの子どもを上手に褒める方法(ライフデザイン) https://recruit.life-design.okinawa/guide/放課後等デイの子どもを上手に褒める方法~発達について~
• 【子どものほめ方・伸ばし方】ベテラン支援員が教える…(四谷学院) https://yotsuyagakuin-ryoiku.com/blogs/home-kata55/
• 子どもの心に届くほめ方 – 効果的なほめ方のコツを解説!(コペルプラス) https://copelplus.copel.co.jp/column/2501_09/
• 子どもの発達を伸ばす褒め方5つのコツ(N-そだち) https://www.n-sodachi.org/2024/12/19/5821/
• 褒めてこどもを育てよう|応用行動分析学 ABA(こども行動療育教室) https://www.midori-th.com/kodomonote4-7.html

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