COLUMN活動報告

NOV. 21 2025

リハビリと療育の違いについて

子どもの発達支援の現場では、「リハビリ」と「療育」という言葉がよく使われます。どちらも子どもの成長や生活の質を高めるための支援を指しますが、その目的やアプローチには明確な違いがあります。ここでは、両者の違いを中心に、それぞれの役割や連携の重要性について説明します!
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■ リハビリとは
リハビリ(リハビリテーション)は、病気やけが、発達に関わる障がいなどによって機能が十分に発揮できない状態にある子どもが、「できる力」を取り戻したり伸ばしたりするための支援を指します。医療的な側面が強く、医師の指示のもとで理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)などの専門職が関わります。
たとえば、脳性まひや筋疾患などで運動機能に課題がある場合、理学療法士が姿勢や歩行の練習を行います。また、手先の動かし方や着替え、食事などの日常動作を練習するのは作業療法士、ことばの発達や飲み込みの練習を支援するのは言語聴覚士の役割です。
リハビリは「機能回復」や「能力向上」を目的とし、医療保険を使って病院やクリニックで行われることが多いのが特徴です。
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■ 療育とは
療育は、発達の遅れや偏りがある子どもが、社会の中で自分らしく生活していけるように、発達全般を支援する取り組みです。医療というより教育や福祉の領域に近く、保育士、児童指導員、リハビリ職、教員、心理士などが中心となって支援します。
療育の目的は、単にできないことを訓練するのではなく、「その子の個性や発達段階に合わせて、生活の中でできることを増やしていく」ことにあります。たとえば、他者との関わり方、感情のコントロール、遊びや学習への意欲など、社会性や情緒面の成長も大切にします。
療育は、児童発達支援センターや放課後等デイサービスなど、福祉サービスを通じて提供されるのが一般的です。
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■ リハビリと療育の違い
リハビリが「身体的・機能的な支援」を重視するのに対し、療育は「発達全体・社会的な支援」を重視する点に大きな違いがあります。
たとえば、言葉が出にくい子どもに対して、リハビリでは「口や舌の動きの訓練」や「発声の練習」を行うのに対し、療育では「人と関わる楽しさを育てる」「伝えたい気持ちを育む」といった情緒面へのアプローチを重視します。
また、リハビリは医療保険、療育は福祉制度を通じて行われるという制度上の違いもあります。しかし、実際の支援現場では両者が連携することが多く、医療と福祉が協力しながら、子ども一人ひとりの成長を多面的に支えています。
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■ おわりに
リハビリと療育は、どちらか一方が優れているというものではなく、子どもの状況や目標に応じて使い分け、組み合わせていくことが大切です。リハビリで身体やことばの「機能」を高めつつ、療育で社会性や自立の力を育むことで、子どもがより豊かに生活できるようになります。両者の違いを理解し、連携して支援していくことが、子どもの可能性を最大限に引き出す鍵となります。

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